概要

鉄道を利用するとき、旅客は乗車券類を購入します。乗車の目的で乗降場に入場する際の係員による乗車券類の確認を「改札」、乗降場から出場する際の係員による乗車券の確認と回収を「集札」と呼びます。この「改札」や「集札」を機械によって実現したものが自動改(集)札機です。

自動改札機は鉄道の駅に設置されていますが、同等の機能を持つ機械を博物館などの有料施設や空港でも見ることができます。また、近年ではその形態をビルのセキュリティー・ゲートとしても利用するところも出てきました。

現在では、鉄道用のもので約28,000台が日本では使用されています。

歴史

駅務の自動化

乗車券の販売は、早く(明治の終わり)から自動化が始まりました。しかし、改集札業務はその複雑さゆえか自動化に時間がかかり、実用化されたのは1960年代後半でした。

昭和初期、ターンスタイルの機械が東京や大阪の地下鉄で存在しました(下の写真は地下鉄博物館の展示物)。硬貨を投入すると一人ずつ改札を通過できます。均一料金制の区間で限定的に採用できるものであり、改集札業務の完全自動化を実現したものではありませんでした。

ターンスタイル改札機
ターンスタイル改札機

出改札自動化に向けた研究

高度経済成長期、都市圏での旅客の増加に伴い、ラッシュ時における改札口の混雑がひどくなってきました。その対応として1960年代より改札自動化の研究が始まりました。

立石電機(現在のオムロン)による研究

1964年より、近鉄との共同研究が行われました。試作機を開発し、阿部野橋駅で近鉄社員を対象にして試用されました。試用することで旅客の検知方法や券搬送部が改良されました。しかし、近鉄には国鉄との連絡改札が存在することなどもあり、実用化は見合わされました。

(参考資料: 鉄道ピクトリアル 727 「自動改札システム開発の時代をめぐって」)

日本信号による研究

1965年、アメリカのアドバンス・データ・システム社が日本に自動改札装置を売り込みにきたことを知った日本信号が同社と接触を図りました。1967年に技術提携を調印し、社内に事業部をつくり体制が整えられました。そして、1968年には試作機を完成させました。

(参考資料: 日本信号50年のあゆみ)

試用

1966年に東急で、1970年には国鉄でも実用化に向けた試用が行われました。

実用化と普及

本格的に実用化されたのは、1967年3月の京阪神急行電鉄(現在の阪急)北千里駅です。立石電機の機械が同駅に設置されました。

その後は、1969年以降に東京モノレール、近鉄、札幌市交通局など次々と使用が始まりました。

ただ、関東地区では連絡運輸が多いこともあって、自動改札の普及はなかなか進みませんでした。しかし、1990年にJR東日本が本格導入に踏み切ったことによって一気に自動化が進みました。

現在

乗車券、定期券のICカード化が進んでいます。磁気データを処理していた改札機は、磁気/IC併用機を経てIC専用機、QRコード対応機の出現とそのスタイルが変わってきています。

記録方式と普及時期
記録方式と普及時期

外観

いくつかの形態がありますが、一般的に通路の両側に機械を配置し、その間を人間が通過するようになっています。構成の詳細については、別ページで解説します。

外観
外観
(1) 人間検知バー
赤外線を使用して改札通路を通る人間を検知
(2) 投入口、ICカード・アンテナ
乗車券の投入口、ICカードのタッチ場所
(3) 通路表示
改札通路の使用可能表示
(4) 集札箱
集札済み乗車券の回収箱

価格

磁気切符対応のみの単機能タイプで数百万円程度するようです。最近の多機能タイプ(磁気切符、プリペイド・カード、ICカード対応機)では軽く1,000万を超える価格設定がされているようです。

東芝製の改札機については以下のとおり、Webサイト(http://www.g-mark.org)に具体的な価格が出ています。

型番対応乗車券価格納入先
EG-800磁気5,000,000円阪急電鉄
EG-1100JE磁気10,000,000~20,000,000円東海旅客鉄道(新幹線)
EG-3000磁気、ICオープン・プライス東海旅客鉄道(新幹線)

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